ビジネスコミュニケーションを劇的に変える「傾聴力」とは

さえずりブログ

皆さんは「傾聴力」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。

先日私は、新入社員が入社後の所信表明の際に、この傾聴力という言葉を使っているシーンを複数回耳にした。新入社員曰く「傾聴力を高めてコミュニケーションを円滑に取れる社会人になりたい」とのことだ。

傾聴力はビジネスにおいて間違いなく重要なスキルの一つである。しかし、その本質を理解しなければ、真に傾聴力を伸ばすことは難しい。

今回は、この傾聴力についてさえずっていこうと思う。

傾聴力とは

傾聴力について簡単に説明すると、相手の話を注意深く、心を込めて聴く力のことである。辞書やインターネット等で調べても、多くの場合、このような表現で傾聴力が説明されている。

この「聴く」という表現は、一般的に音を耳にすることを表す「聞く」とは異なる意味合いを持つ。「聞く」と「聴く」の違いは以下の通りである。

「聞く」と「聴く」の違い
  • 聞く(受動的)
    • 特に意識しなくても、音や声が自然と耳に入ってくる状態
    • 意識的に注意を払わなくても聞こえてくる音、声、音楽、雑音など、あらゆる音に対して使われる。
       ※例:テレビの音が聞こえる、隣の部屋から声が聞こえる、など
  • 聴く(能動的)
    • 相手の話や音の内容を理解し、注意深く受け止めようとする意識的な行為
    • 積極的に耳を傾け、集中して聴くというニュアンスが強く、人の話、音楽、自然の音など、意味や内容を理解しようとする行為に使われる。
       ※例:(理解するため)真剣に相手の話を聴く、など

しかし、ビジネスにおける傾聴力を説明しようとするならば、この説明だけではやや不十分であると言わざるを得ない。

なぜなら、この簡単な説明は「聴く力のことである」としか説明していないからだ。

傾聴力の本質の一部が「聴く力」であることは確かだ。しかし、相手の話を聴いているだけで傾聴力が高くなるものだと勘違いしてはいけない。

相手の話を聴くだけが傾聴力ではない

傾聴力とは、他者とのコミュニケーションレベルを高めるための力であると言える。

他者とコミュニケーションを取る以上、そのやり取りは一方通行ではありえない。会話のやり取りを通じて、意識や情報の伝達が双方向に行われることで、初めてコミュニケーションと呼ぶことができる。

つまり、コミュニケーションを成立させるためには、単に「聴く」だけでは不十分なのである。

高い傾聴力をもって良質なコミュニケーションを築く場合、聴く力だけではなく、相手の気持ちになる力(寄り添う力)、相手の話を正しく理解する力、相手と共感を高めるために適切な質問をする力、などが求められる。

相手の話を聴いた後、相手の伝えたいことを正しく理解できたかを確認するために自分の言葉で要約したり、不明な点があれば質問をして理解を深めたりする行為も、傾聴力を高める上で重要な要素となるだろう。

傾聴力を高める3つのポイント

傾聴力を高めるためには、以下のようなポイントを意識する必要がある。

相手の話を最後まで聴く

まず第一に、相手の話を最後までしっかりと聴くことが重要である。これは「聴く」という言葉の意味そのものでもある。

手の話に真剣に耳を傾け、意識を集中させ、心を寄せて真摯に聴く行為こそが傾聴であるため、相手の話を聴かないことには傾聴は成り立たない。

相手の話を遮って自分の話を始めてしまう、いわゆる会話泥棒のような行為は絶対に避けるべきだと心掛けよう。

相手の言葉(声)以外の情報も見逃さない

相手の言葉(声)以外の情報を捉えることも、高い傾聴力には不可欠な要素である。

相手の心情を把握するための情報は言葉に限ったものではない。「目は口ほどにも物を言う」「顔は心の鏡」なとど言われるよう、視覚から得られる情報も数多く存在する。

そして、言葉以外の情報の方が相手の真意を語っているケースが非常に多いことも事実である。

人は自分の意思や感情を言葉で表現することが必ずしも得意ではない。自分自身では明確な意図や感情があったとしても、言葉にすることができなければ、その情報は正しく相手に届かない。

相手が意図せず意思や感情とは裏腹の言葉を語っている場合や、意図的に嘘をついていることさえある。

また、仮に言葉にできたとしても、その言葉から相手の意図や感情を完全に理解することは非常に困難である。そのような時、言葉(声)の情報と合わせて表情や目線、声のトーンや姿勢などを捉えることで、相手の言葉の信用度や確信度を把握することが可能になる。

傾聴力を高めようとするならば、対面コミュニケーションが圧倒的に有利である。

昨今、リモートワークが普及しており、フルリモートでの勤務を希望する若手社会人も増えているが、言葉以外の情報を得る手段に乏しいリモートワーク化でのコミュニケーションでは、良質な傾聴力が磨かれにくいことも重要な事実として理解しておく必要がある。

相手の立場に立ち、共感し、相手の気持ちを理解する

対面でコミュニケーションを取っていたとしても、ただ相手の話に耳を傾けているだけでは、傾聴力が高いとは言えない。

相手の話を真摯に聴いた上で、相手に共感し、相手の気持ちや伝えたいことを正しく理解することが重要となる。

相手の気持ちを理解し、共感することはとても難しいことだ。なぜならば、自分が相手のことを理解したという事実を客観的に確かめる手段が存在せず、相手側が「彼(彼女)は自分の気持ちを理解してくれている」と感じることで初めて、自分が相手の気持ちを理解したと言えるからだ。

だからこそ、傾聴力には「対話」が不可欠である。自分が正しく相手の意図や気持ちに共感できているか、相手の伝えたいことを正しく受け取れているかを対話を通じて確認していくことで、相手にも自分が正しく相手と共感できていることを伝えることができるだろう。

興味を持つことが傾聴力につながる

バードブレインのさえずり
バードブレインのさえずり

傾聴力を高める一番の方法は「興味を持つこと」である。人は誰しも興味のないことには真剣になれない。目の前の相手に興味・関心を示し、相手のことをもっとよく知ろうと心掛けることこそが、傾聴力を高めるための最良の手段といえる。

先に傾聴力を高める具体的なポイントをいくつか挙げたが、それら全てに共通して言えるのは、相手に対して興味を持つことで傾聴力は自然と高まる、ということである。

相手のことに心の底から興味を持つことで、相手のことを知りたいという思いが強くなり、相手の話をじっくりと聴くようになる。そして、相手の気持ちになって自分事として考えることができるようになるものだ。

反対に、興味のないものに対して、人はなかなか関心を持つことができない。

相手に興味を持つことができなければ、話している時間を退屈に感じてしまい、相手の話を真剣に聴くことが難しくなるだろう。時には、相手の話を遮って自分の話をしてしまうことさえあるかもしれない。

傾聴力の本質的なエネルギーは、相手に対して抱く興味である。

もしあなたが傾聴力を高めたいと真剣に思っているのであれば、まずは相手に対して興味や関心を示すことから始めるのが最も効果的な方法だろう。

まとめ

以上が、傾聴の本質と、それを高めるための重要なポイントである。

ビジネスにおいて、傾聴力は極めて重要なスキルと言える。部下や上司といった社内の人間関係はもちろんのこと、お客様とのコミュニケーションにおいてもその効果を発揮する。

特に、円滑な意思疎通が求められるビジネスの現場においては、必須スキルであると断言しても過言ではない。

本記事が、皆様の傾聴力を日々向上させ、より円滑なビジネスライフを送るための一助となれば幸いである。

Birdbrain

データ活用系IT企業で複数の技術部門を統括する事業部長。30代で200人の部下のマネジメントを経験。幅広い業務経験を活かし多くの社会人の悩みを解決したいと考え、ブログを開設。ブログでは私の経験と知識からくる自論をさえずっていく。

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