人間社会においては、人は常に他者から評価される。その評価は、大小様々である。
小学生の頃は、教師から「頭が良い子」「運動ができる子」と評価され、親や親戚からは近所の同い年の子と比較され、「大人しい子」「落ち着きがない子」などと言われた経験があるだろう。
中学生、高校生になると、勉強や運動の成績で評価されるようになり、大学生ともなると、社会適応性なども評価の対象となる。
社会人になっても同じことが言え、人は生まれてから死ぬまで、常に何者かから評価され続けていると言っても過言ではない。
人が常に受け続ける評価には、大きく分けて「自己評価」と「他者評価」の2つがある。
今回は、ビジネスシーンにおける自己評価と他者評価の違いについてさえずっていこうと思う。
自己評価とは?
自己評価とは、自分自身を評価することである。自分の能力、性格、価値観、行動などを、自分自身で判断し、評価することを表す。
自己評価を行うことで、自分の長所や短所を理解し、自己成長に繋げる上で非常に重要な役割を果たすことが出来る。
自己評価を行う上で大切なポイントは以下となる。
- 客観性
- 自分の行動や実績を客観的に見つめる。
- 感情的な判断ではなく、事実に基づいた評価を心がける。
- 具体性
- 抽象的な表現ではなく、具体的な事例や数値を用いて評価する。
- どのような点が良かったのか、あるいは改善が必要なのかを具体的に示す。
- 多角性
- 一つの側面だけでなく、様々な角度から自分自身を評価する。
- 能力、性格、行動、価値観など、複数の要素を考慮する。
自己評価は自分を振り返るのにとても役に立つ手段であるが、反面、非常に主観的なものであるため、客観性に欠ける場合もある。
自己評価における注意点は以下となる。
- 過大評価
- 自分の長所を過大評価し、短所を過小評価してしまうことがある。
- 客観的な視点を持ち、現実的な評価を心がける必要がある。
- 過小評価
- 自分の短所ばかりに目を向け、長所を過小評価してしまうことがある。
- 良い点や成長した部分も認め、自己肯定感を高めることが重要。
- 他人との比較
- 他人と比較して自己評価を行うことは避けるべき。
- 自分のペースで成長し、自分自身の目標に向かって努力することが大事。
このように、自己評価には注意点もあるが、自己評価は自己成長やキャリアアップに繋げるための第一歩となる。
自己評価の結果を活かし、具体的な目標を設定し、行動計画を立てることで、より効果的に自己成長を促すことができる。
他者評価とは?
他者評価とは、自分以外の誰か(他者)が、ある人物や物事について評価を行うことである。
(※本ページでは、他者評価の対象を「自分」として記述する)
他者の視点を自分に取り入れることで、自分自身では気づきにくい長所や短所、改善点などを知ることができる。
また他者評価とは必ずしも自分が所属する会社内だけ行われるものではない、社外の人々や近所の人々からも受ける可能性がある。
- 社内評価
- 上司評価
- 従業員の業績、能力、行動などを評価する。
- 目標設定、フィードバック、昇進・昇格などに影響する。
- 評価者は、従業員の直属の上司や部門長などが一般的。
- 同僚評価
- 同僚同士が互いを評価する。
- チームワーク、コミュニケーション能力、協調性などが評価される。
- 評価者は、同じ部署やチームの同僚が一般的。
- 部下評価
- 部下が上司を評価しする。
- リーダーシップ、マネジメント能力、コミュニケーション能力などが評価される。
- 評価者は、上司の部下が一般的。
- 多面評価(360度評価)
- 上司、同僚、部下など、様々な立場の人が互いを評価する。
- より多角的な視点から、個人の強みや弱みを把握できる。
- 評価者は、従業員に関わる様々な立場の人が含まれる。
- 上司評価
- 社外評価
- 顧客評価
- 顧客が商品やサービスについて評価する。
- 満足度、品質、価格などが評価される。
- 評価者は、商品やサービスの利用者である顧客。
- 取引先評価
- 取引先が企業、または企業に所属する社員を評価する。
- 信頼性、安定性、技術力などが評価される。
- 評価者は、企業の取引先である企業担当者。
- 地域社会からの評価
- 地域住民や地域団体が企業を評価する。
- 社会貢献度、環境保護への取り組み、地域との連携などが評価される。
- 評価者は、企業の事業所がある地域の住民や地域団体。
- 専門家評価
- 業界専門家や評論家が企業や個人の活動を評価する。
- 専門知識や技術力、革新性などが評価される。
- 評価者は、特定の分野に精通した専門家。
- 顧客評価
- 近所の人からの評価
- 地域社会への貢献度
- 近隣住民が、個人の地域活動への参加状況や貢献度を評価する。
- 地域清掃、ボランティア活動、町内会活動などが評価される。
- 近所付き合い
- 近隣住民が、個人の近所付き合いの状況や態度を評価する。
- コミュニケーション能力、協調性、礼儀正しさなどが評価される。
- 生活態度
- 近隣住民が、個人の生活態度やマナーを評価する。
- 騒音、ゴミ出し、駐車マナーなどが評価される。
- 地域社会への貢献度
このように、他者評価とは、自分以外の他者(上司、同僚、部下、顧客、取引先、近所の人など)が、あなたの能力、業績、行動、人柄などを評価することである。
そして他者評価は、自己成長を促すための貴重な情報源となり、様々な立場の人々からの評価を参考に、自分の強みを伸ばし、弱みを改善することで、より良い自分になることができるための貴重な情報源である。
自己評価と他者評価の比較
自己評価と他者評価は、どちらも個人の能力や行動を評価するものである。しかし、その視点や目的、方法には大きな違いがある。
- 評価の主体
- 自己評価: 自分自身が自分の能力や行動を評価する。
- 他者評価: 他の人があなたの能力や行動を評価する。
- 評価の視点
- 自己評価: 自分の経験や知識に基づいて評価するため主観的な視点になりがち。
- 他者評価: 他の人の視点から、自分の行動や成果を評価する。客観的な視点を取り入れやすい。
- 評価の目的
- 自己評価: 自分の強みや弱みを理解し、成長につなげることが主な目的。
- 他者評価: 人事評価や能力開発など、組織の目標達成に貢献することが主な目的。
- 評価の方法
- 自己評価: 自己申告書やアンケートなど、自分自身で評価を行う。
- 他者評価: 上司や同僚からの評価、顧客からのフィードバックなど、様々な方法で評価を行う。
- 評価結果の活用
- 自己評価: 自分の課題を認識し、改善策を検討する。
- 他者評価: 人事考課や昇進、研修計画などに活用される。
自己評価と他者評価のイメージ

今月の目標達成度は80%だった。原因は新規顧客開拓の遅れだ。来月は新規顧客開拓数を増やすため、テレアポの件数を1日20件から30件に増やそう!

彼はコミュニケーション能力が高く、チームワークに貢献してくれているな。しかし、計画性に課題が見られる…。
このように、自己評価と他者評価は、それぞれ異なる視点と目的を持っている。
自己評価は自己理解を深め成長を促すためのツールであり、他者評価は社会における自分の客観的な評価である。
自己評価と他者評価は、それぞれ異なる視点から自己成長を促すための重要な要素だ。自己評価で自分の内面を深く理解し、他者評価で客観的な視点を取り入れることで、より効果的に自己成長を達成することができる。
どちらの評価が本当の自分?

社会における私(自分)の評価は他者評価の集合体であり、他者評価が社会における私自身(自分自身)を映し出しているとも言える。
自己評価と他者評価、どちらが本当の意味での自分なのかを決めることは非常に困難であるが、社会における”自分”を構成しているのは間違いなく他者評価の方ある。
なぜなら自己評価は自分の中にしか存在しないからだ。自己評価はどんなに頑張っても自分の思考の世界から出ていかない。自分の思考はどうやっても他人に直接インストールすることができないのだ。
例えば、あなたの本当に仲の良い友人を思い浮かべてほしい、仲の良い家族や同僚でもよい。もしそのような相手がいなくても、いるものだと思って想像してほしい。
あなたはその相手のことを何でも知っていて、いつも相手の考えていることを的中させることができてしまう。相手も同じようにあなたことを何でも知っていて、人生で最高のパートナーと言ってくれている。
しかし、そのパートナーはいったいどのようにしてあなたの思考を読み取っているのだろうか?あなたがパートナーの頭に直接脳内データをコピーしているのだろうか?パートナーはあなたの頭の中を顕微鏡で覗き込んでいるのだろうか?
残念ながら現在の科学では他人の思考をデータのように読み取ることも、自分の考えを他人の脳内にインストールすることもできない。つまり、自己評価はどんなに逆立ちしても自分の世界にしかなく、社会から見た自分の評価という世界には存在しない概念なのである。
だからこそ私は、社会における”自分”の評価は他者評価の集合体だと考えている。
社会から見た自分は、自分の知ってる自分ではない
全ての社会人は他者からの評価を受け続けている。上司や部下からの評価、お客様からの評価、時々通っているコンビニの店員さんからの評価まで、その全てが他者評価なのである。
もしあなたが、自分を他人より劣っている人間だと考え、まだまだ精進しなければと自己評価したとしても、他人があなたを優れていると評価すれば、あなたが自分をどう思っていようが社会におけるあなたの評価は優れているのである。
逆にあなたが、自分をとても優れた人間だと自己評価していたとしても、他人があなたを優れた人間ではない評価してれば、あなたが何と言おうとも社会におけるあなたの評価は優れていないのである。
私は自己評価が無用なものだと言いたいわけではない。記事にも書いた通り自己評価は自己成長のために重要な手段である。
忘れないで頂きたいのは、社会から見たあなたは、あなたの知っているあなたではないということだ。
社会が映し出している”自分”という人間は、あなたの自己評価など全く無視して、他者の脳内にある”あなたの知らないあなた”の像なのである。
まとめ
この記事では、自己評価と他者評価の違い、そして社会における自分の評価についてさえずってみた。
人は社会の中で常に評価され続けており、その評価には「自己評価」と「他者評価」の2種類がある。自己評価と他者評価は、それぞれ異なる視点から自己成長を促すための重要な要素であることは間違いないが、社会における評価は他者によって決まるものである。
そのため、社会においては自己評価を向上させると同時に、他者からの評価を意識した行動が重要である。