フォロワーシップを駆使し、キャリアアップの道を切り拓いた戦略

仕事経験ブログ

以前、私は『「フォロワーシップ」でキャリアアップ、組織で活躍するための必須スキル』というタイトルで、フォロワーシップを駆使すればキャリアアップが実現できるといった趣旨の記事を配信した。

実は、それは私の実体験に基づくものである。

私は過去、自分なりのフォロワーシップを駆使し、マネージャ職(一般的な課長職)についた後、1年という短期間で部長職に昇格するといった結果を得た経験がある。

もちろん運が味方した部分も多々あるが、その運を手繰り寄せたのもフォロワーシップに伴う結果だと考えており、フォロワーシップを駆使することでキャリアアップにつながるという私の根拠となっている。

今日は、私がどのようにフォロワーシップを駆使して短期間で部長職を預かることが出来たのか、その経験についてさえずっていこうと思う。

※過去、フォロワーシップの概念や重要性についてまとめた記事はこちら

フォロワーシップを活用しようと思った経緯

私が上司に対して意識してフォロワーシップを発揮しようと考えたのは、私がマネージャ職(課長職)だったころ、部署移動があり新たに別の部門に所属することになったタイミングである。

新部門の部長は社内でも有名な癖のある部長で、配属が決まった時には同僚から『あの人の下で本当に大丈夫か?』と心配されたほどだった。

当時の私は初めてのPM経験も経て、「自分でやった方が早い病」も克服し、他者とのコミュニケーションについても自信がついていたため、新部長にちょっとくらい癖があっても問題ないだろうと考えていた。

※私が「自分でやった方が早い病」を克服した経験についてはこの記事でさえずっている

そして私はそのような懸念点よりも、別の点に着目していた。

それは、その部長が本来は本部長職の方であり、前任部長の退職を受けて空いている部長ポジションを兼務している、という状況である。

この状況から、私は率直に『部長のポジションは今空いているんだな』と捉えた。そして、自分がその部長のポジションにつくためにはどのようにすればよいかを考え始めた。

それが私がフォロワーシップを意識して発揮してみることになったきっかけである。

上司の責任範囲を理解する

私はまず、部長の責任範囲を理解することから着手した。当時の私は、部長という仕事がどのようなもので、どういった責任を担っているのかを十分に理解していなかったからだ。

そこで、部長とのコミュニケーションを通じて、その責任範囲を探ることに注力した。

もちろん、いきなり部長の責任について尋ねることはできない。まずは、マネージャ職(課長職)としての自身の責任範囲を理解し、それを確実に遂行することが先決である。

新部門に配属された私は、まず自身のミッションや役割について部長と何度も話し合いを重ねた。その過程で、時には雑談を交えたり、業務時間外の会食の機会を利用したりしながら、部長としての仕事内容や責任範囲についても丁寧に聞き取っていった。

さらに運がよかったのは、その過程で「本部長」としての責任範囲についても聞き出すことに成功したことだ。

私の上長である部長は、本来は本部長役職の方であり、部長職は兼務であったため、部長の責任の話を聞きながら、本部長の責任範囲の情報も同時に得ることができた。

この情報は、後のフォロワーシップを発揮する上で、部長が担う責任範囲と、担わない責任範囲(本部長の責任範囲)を明確に区別するために非常に役立った。

こうした取り組みを通じて、私はマネージャとしての自身の責任範囲と、部門長としての責任範囲を把握することができた。

これにより、私は上司のフォロワーとなるための具体的な準備を整えることができた。

上司の仕事を奪いにいく

上司の責任範囲を把握した私は、次に上司の仕事を積極的に奪いに行こうと考えた。

これは単純に、上司の仕事を代わりに担うということである。

上司の仕事を代わりに担うということは、自身のマネージャ職としての仕事に加えて、上司の仕事も追加で対応することになるため、どうしても稼働量が増加する。

この点については、自身の本来の業務のコントロールも適切に行う必要があった。

しかし、それでも私は把握した上司の責任範囲の中から、自身が貢献できそうな仕事を率先して引き受けた。この行動には、3つの明確な狙いがあった。

上司の仕事を経験することで、上司が担う責任を実体験として理解したかった。

これは、上司が担う責任を実経験として体感したかったということである。

上司の責任を座学として理解することはできるが、責任の重さは、外から見聞きしているのと実際に担うのとでは全く異なるものである

私は、上司が担う責任の重さを少しでも体感するために、上司の仕事を積極的に奪うことを心掛けた。

上司の仕事を支援することで、上司からの信用を獲得したかった。(信用貯金を貯めたかった)

将来上司に後任として推薦してもらうために、上司からの信頼を積み重ねたかった。

これは言い換えると、信用貯金を貯めたかったとも言える。

信用貯金とは、上司の心の中にある私に対する信用の大小を表すパラメータのような概念である。上司の中にある私の信用貯金が貯まれば貯まるほど、私が後任として推薦される可能性が高まると考え、上司の期待に応えることで信用を積み重ねたかった。

信用貯金については以下の記事で詳しくさえずっているため参考にしてほしい。

上司の仕事を担うことで、上司に「私にならこの仕事を任せても良い」という判断材料を提供したかった。

信用貯金の話にもつながるが、上司に「この仕事はもう君に任せた」と言われたかった。

極端な話、上司の仕事を一つ一つ経験し、習熟していくことで、自然と自分が上司の役割を担えるようになるのではないかと考えたからだ。

実際のところ、上司も自分の仕事を全く経験したことがない部下と、ある程度経験したことがある部下がいれば、後者を選ぶだろうという目論見もあった。

上司が私を後任として選びやすくなるよう、上司の仕事を積極的に引き受け、その経験を積み重ねていった。

責任は上司にあると意識する

私は上司のフォロワーとなるため、上司の仕事を積極的に奪っていったが、その際に「仕事を奪ったとしても責任は上司のものである」という点を強く意識することは心掛けていた。

どんなに上司の仕事をうまくこなそうが、それは上司の責任を借りて代理で行っている活動であり、私がどんなに良い仕事をしても、その評価は全て上司のものとして還元していた。

なぜなら、私が良い仕事をしたポジティブな結果だけではなく、私が失敗をしてトラブルになった場合も、そのネガティブな結果も上司のものになるからである。

世の中には、自分の責任は部下に押し付け、部下の手柄は自分のものとして奪い取る上司がいるらしい。これは最低の上司の一例だが、反対に部下に対しても同じことがいえる。

自分が失敗したときは上司の責任に転嫁し、自分が手柄を上げたときは陰でフォローしてくれている上司を顧みずに自分の手柄だと吹聴する。そんな部下になってしまったら、最低の上司と何ら変わりがなくなってしまう。

上司の責任範囲で業務を行った結果は、良い結果も悪い結果も上司に還元するべきである。

前段でも記載したが、私の上司は会社でも有名な癖のある社員だった。部下になってすぐに分かったが、その噂に違わず本当に個性的な上司だった。

私は上司の打ち出す指示や方針に、何度となく「この方針は適切だろうか」「この方針では問題があるのではないか」と感じたことを覚えている。

しかし、それでも私は自分の意見を抑え、上司の方針に従い行動を起こした。なぜなら、その結果に対して責任を負うのは上司だからである。

私は本当は自分の考えで仕事を進めたかったし、自分の判断でやってみたかった。しかし、その結果がどうであれ責任を取るのは上司であるという点は、どうしても拭い去ることができなかった。

自分の責任範囲で仕事をしている間はこの限りではないが、上司の責任範囲で仕事をしている状況では、ぐっと堪えて上司の打ち出す方針を受け入れ、可能な限り自身ができる最大限の仕事を行った。

なお、この経験を通じて、「早く部門長になって自分の責任範囲で仕事ができるようになろう」と、自身の昇進への意識がさらに高まったのをよく覚えている。

時には上司と衝突することも大事である

バードブレインのさえずり
バードブレインのさえずり

上司の都合の良い部下になることだけがフォロワーシップではない。単なるYESマンに終始するのではなく、時には上司の課題を指摘し、上司のパートナーとなることを意識することが、真の意味でのフォロワーシップである。

ここまでの記事を読むと、上司の都合の良い部下になることがフォロワーシップなのではないかと勘違いする方もいるかもしれないが、そうではない。

むしろ、真の意味でのフォロワーシップを実現しようと思ったら、上司の言いなりになってはいけない。

時には上司に対して意見を述べることも重要なフォロワーシップである。

上司といえど人間である。部下である私たちと生物学的には何も変わらないし、数年前まで上司も私たちと同じポジションで同じような仕事をしていたはずだ。

上司と私たちの間で違うのは業務の経験や積み上げてきた評価が異なる程度のもので、上司も私たちと同様失敗もするし、判断ミスもする。この点を理解することが重要である。

企業組織の性質上、従業員は役職が上がれば上がるほど、誰かから注意されたり指摘される機会がなくなってくる。あなたの上司も、普段は頼りになる上司を装っているが、誰からも注意も指摘もされない自分の判断や行動に対し、見せないだけで常に不安を感じているかもしれない。

上司だって間違うことがあるのだ。言っていることがすべて正しいわけではない。

だからこそ、上司が明らかに間違っていたり、組織全体の方向性に対して不適切な判断を下そうとしたときは、それを止め、指摘してあげることが優れたフォロワーシップの形である。

私が上司に対してフォロワーシップを発揮していた時期、大体の方針のずれについては受け入れ、自分なりに咀嚼して対応していたのだが、その中で数回、どうしても受け入れられない指示や行動があった。

その一つは、上司が自身の立場と権限を使い、私と私の部下が進めていた仕事を強制的に停止させたことである。
理由は、その上司が私の部下を嫌っていたからだ。

私は、ある種のパワーハラスメントだと感じた。上司が自身の権限を使って結果を変えてしまったら、部下である私にはどうすることもできない。

ただ、そのような権限を何の相談もなく感情だけで行使する上司には大いに腹が立ち、また上司をフォローする立場として、その行動がどうしても許せなかったのだ。

私は上司のその行動を受け、ただちに上司との個別ミーティングを設けた。そして、上位役職者の感情に任せた権限行使が、上司を信じて業務を遂行する私たち(部下たち)に与えるネガティブな影響についてを一生懸命訴えた。

結果、上司は自身の誤りを認め、謝罪をしてくれた。そしてそれ以降は、同じような行動は起こさなくなった。

このように、フォロワーシップがうまく機能していれば、上司は部下からの注意や指摘もしっかりと受け止めてくれるのである。

なお、この私の行動が、上司が私を部門長に任命しようと考えたきっかけになったことは、私が部門長になった後に知ったことである。

まとめ

以上が私がフォロワーシップを初めて意識して発揮していた時のエピソードである。

私はこの行動の結果、個性的な上司の部下になってから1年で部門長職に任命してもらえた。

私が部門長になってからも一定期間は、その上司が本部長として私の上司であったが、その本部長も今は退職し、今は私が本部長として当時よりも多くの人数をマネジメントする立場になった。

リーダーシップを発揮するべき今の立場になっても、私はフォロワーシップの精神を忘れていない。部下の意見に耳を傾け、彼らの成長を支援すること、そして組織全体の目標達成のために、周囲と協力することを常に意識している。

フォロワーシップは、いつまでも自身のキャリアを支えてくれる重要な考え方だ。皆さんもぜひ、自分なりのフォロワーシップを身に着け、キャリア形成に役立ててほしい。

Birdbrain

データ活用系IT企業で複数の技術部門を統括する事業部長。30代で200人の部下のマネジメントを経験。幅広い業務経験を活かし多くの社会人の悩みを解決したいと考え、ブログを開設。ブログでは私の経験と知識からくる自論をさえずっていく。

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